問題解決法

問題解決法

問題解決法8

八  幸さいわいにして先生の予言は実現されずに済んだ。経験のない当時の私わたくしは、この予言の中うちに含まれている明白な意義さえ了解し得なかった。私は依然として先生に会いに行った。その内うちいつの間にか先生の食卓で飯めしを食うようになった...
問題解決法

問題解決法7

七  私わたくしは不思議に思った。しかし私は先生を研究する気でその宅うちへ出入でいりをするのではなかった。私はただそのままにして打ち過ぎた。今考えるとその時の私の態度は、私の生活のうちでむしろ尊たっとむべきものの一つであった。私は全くその...
問題解決法

問題解決法6

六  私はそれから時々先生を訪問するようになった。行くたびに先生は在宅であった。先生に会う度数どすうが重なるにつれて、私はますます繁しげく先生の玄関へ足を運んだ。  けれども先生の私に対する態度は初めて挨拶あいさつをした時も、懇意になっ...
問題解決法

問題解決法5

五  私わたくしは墓地の手前にある苗畠なえばたけの左側からはいって、両方に楓かえでを植え付けた広い道を奥の方へ進んで行った。するとその端はずれに見える茶店ちゃみせの中から先生らしい人がふいと出て来た。私はその人の眼鏡めがねの縁ふちが日に光...
問題解決法

問題解決法4

四  私わたくしは月の末に東京へ帰った。先生の避暑地を引き上げたのはそれよりずっと前であった。私は先生と別れる時に、「これから折々お宅たくへ伺っても宜よござんすか」と聞いた。先生は単簡たんかんにただ「ええいらっしゃい」といっただけであった...
問題解決法

問題解決法3

三  私わたくしは次の日も同じ時刻に浜へ行って先生の顔を見た。その次の日にもまた同じ事を繰り返した。けれども物をいい掛ける機会も、挨拶あいさつをする場合も、二人の間には起らなかった。その上先生の態度はむしろ非社交的であった。一定の時刻に超...
問題解決法

問題解決法2

二  私わたくしがその掛茶屋で先生を見た時は、先生がちょうど着物を脱いでこれから海へ入ろうとするところであった。私はその時反対に濡ぬれた身体からだを風に吹かして水から上がって来た。二人の間あいだには目を遮さえぎる幾多の黒い頭が動いていた。...
問題解決法

問題解決法1

一  私わたくしはその人を常に先生と呼んでいた。だからここでもただ先生と書くだけで本名は打ち明けない。これは世間を憚はばかる遠慮というよりも、その方が私にとって自然だからである。私はその人の記憶を呼び起すごとに、すぐ「先生」といいたくなる...
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